シタラビン (キロサイド N)Cytarabine代謝拮抗剤 − 抗がん剤の種類 |
抗がん剤の特徴 |
ピリミジン系の代謝措抗剤で,米国では最もよく用いられる抗がん剤の1つです。日本では1971年に急性白血病治療薬として承認されています。 この抗がん剤はがん細胞内でA r a-CTPという物質に変化し,DNAの合成を阻害すると同時に、DNAを複製する酵素(ポリメラーゼ)の働きを抑制します。 現在,シタラビンの大量投与法は,急性白血病では必要不可欠な治療法となっています。 |
抗がん剤治療の対象となるがん |
急性非リンパ性白血病を中心として,使用されますが,多くのがんに対して適用できるという特徴があります。 この抗がん剤は血液脳関門を通過することが可能なため,中枢神経系の白血病にも使用されます。 その他に適用されるがんとして,悪性リンパ腫,肺がん,胃がん,大腸がん,肝臓がん,胆道がん,膵臓がん,膀胱がん,乳がん,卵巣がんなどがあります。 |
投与方法 |
点滴か注射で静脈に投与します。長時間の作用で効果が増大するため,24時間の連続投与や1〜2週間の連続投与をおこなう場合もあります。 急性白血病では,完全寛解を目指して,大量投与による「寛解導入療法」をおこないます。 |
抗がん剤の副作用 |
重篤な副作用としては,骨髄抑制が多く,白血球の減少が多くみられます。多くのの場合,1週間から10日ほどで白血球が最も少なくなり,回復するまでに同程度の時間がかかります。 また,間質性肺炎や急性呼吸促迫症候群などの重篤な呼吸器疾患が見られる場合もあります。 大量投与や脳脊髄への投与では,白質脳症や小脳失調などの中枢神経障害の報告があります。 吐き気,嘔吐,下痢などの消化器症状は起こりやすく,大量投与した場合には,口内炎がよく見られます。結膜炎がみられることも多く,予防薬としてステロイド剤の点眼剤が用いられます。 そのほかの副作用としては,頭痛や倦怠感,発疹,脱毛,痛みのある紅斑,肝障害などがあげられます。 また,膀胱内注入療法を行なった場合には,頻尿や排尿痛,血尿などがみられる場合があります。 そのほか,ショックや急性心膜炎,消化管の潰瘍や出血,腸炎などの報告もあります。 |
使用上の注意 |
骨髄機能が低下している人は,この抗がん剤の副作用により骨髄機能がさらに低下する恐れがあります。 また,肝臓や腎臓に障害がある人は、本剤の代謝や排泄が十分にできず,副作用が増強する可能性があります。 フルシトシン(抗真菌薬)との併用でも、骨髄抑制が強まったり、フルシトシンの作用が弱まることがあります。 妊娠・授乳について 妊娠中の使用は避けることが望ましいとされ,授乳中の人は授乳を控えてください。 急性白血病治療のシタラビンの大量投与法では強力な反面,副作用が強く,まれに死亡することもあり,十分な治療管理体制と支持療法が必要です。 |
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