フルオロウラシル 5-FU

 Fluorouracil   

 代謝拮抗剤 − 抗がん剤の種類

 カルゾナール,ベントン,ルナコールロS,ルナポン   
抗がん剤の特徴
  フルオロウラシルは1956年に抗がん剤として開発され,現在,消化器系のがんに広く使用されている,代表的な代謝拮抗剤です。

 DNAの合成に必要な物質の1つにウラシルがありますが,この抗がん剤はウラシルに似た分子構造を持ち,ウラシルの代わりにDNAに取り込まれることにより,がん細胞の分裂を阻害します。また,DNAの合成を促す酵素の機能も阻害します。
 
 特に,大腸がんの治療では,重要な抗がん剤で,レボホリナートカルシウムとの併用による5−FU/J−LV療法,また,それにイリノテカンやオキサリプラチンを加えた併用療法が,標準的
な治療法として確立されています。
 
 注射剤の他,経口剤,軟膏など多くの形態があるのもフルオロウラシルの特徴といえます。 

抗がん剤治療の対象となるがん
 多くのがんが対象となり,抗がん剤の形態もがんの種類によって異なります。

 胃がん,大腸がんなど消化器系のがんをはじめ,頭頸部がん,肺がん,肝臓がん,膵臓がん,乳がん,子宮頸がん,子宮内膜がん,卵巣がん,皮膚がんに適用されます。

投与方法
 注射剤,座薬,錠剤,ドライシロップ,軟膏と多くの形態があることが特徴で,がんによって使い分けられています。

抗がん剤の副作用
 吐き気・おう吐,食欲不振,下痢などの消化器症状がよく見られます。

 重篤な副作用としては,激しい下痢や脱水症状,出血性をともなった腸炎や,重い骨髄抑制,間質性肺炎,心不全,急性腎不全,白質脳症などが見られることもあります。

 その他の副作用として,めまい,しびれ,倦怠感などの精神神経症状,脱毛や色素沈着,発疹,腎臓や肝臓の機能低下,発熱,動悸などがあります。

 座薬では肛門部の痛みが見られ,軟膏では塗布部の痛みや発赤,色素沈着などが見られます。

使用上の注意
  抗ウィルス剤ソリブジンや同じ代謝拮抗剤のTS−1は,この抗がん剤の血中濃度を著しく上昇させ,重い骨髄抑制や下痢などの消化器障害が起こる恐れがあり,併用できません。

 TS−1の使用を中止した後もこの抗がん剤の影響が残るため,少なくとも7日間は本剤を使用できません。

 抗てんかん剤のフェニトインや抗血栓薬のワルファリンカリウムと併用することで,これらの薬剤の作用が増強してしまうことがあります。

 妊娠中の使用は避けることが望ましく,授乳は控えてください。
 
 
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