ホスフェストロール Fosfestrol     ホルモン剤抗がん剤の種類
   
抗がん剤の特徴
 ホスフェストロールは1950年代にドイツで開発された,女性ホルモンの1腫であるエストロゲン(卵胞ホルモン)の合成剤です。
 
 この抗がん剤は体内に入ると,抗アンドロゲン作用の強いスチルベストロールという物質が分離され,これがアンドロゲン(男性ホルモン)のはたらきを抑制し,前立腺がんの増殖を抑制します。
 
 また,大量投与した場合には,前立腺に直接作用し,テストステロン(男性ホルモン)の活性化を抑制し,抗がん効果を発揮します。  

抗がん剤治療の対象となるがん
  前立腺がんの治療や閉経後の末期乳がんが対象です。
 ただし,乳がんの場合,男性ホルモンによる治療で抵抗性を示した場合に使用します。

投与方法
 錠剤の内服薬で,通常は1日3回経口投与します。 

抗がん剤の副作用
 この抗がん剤の注意すべき副作用に血栓塞栓(けっせんそくせん)症があり,心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすことがあります。

 血栓の生じる場所は様々で,手足,特にふくらはぎの痛みやしびれ,息切れ,胸の痛み,強い頭痛,めまい,視力低下などが前兆となりますので,そのような症状があらわれたらすぐ医師に報告してください。

 その他の副作用として,肝臓機能の低下や乳房のふくらみや痛み,吐き気・嘔吐,倦怠感などがあらわれることもあります。

 また,性機能の低下や
肛門・陰部周囲のかゆみ,灼熱感,しびれ感などがみられることもあります。

使用上の注意
  服用開始から2〜3週間では,吐き気・おう吐が起こりやすく,通常は,自然に解消していきますが,症状が重い場合は医師に相談しましょう。

 なお,長期間の投与によって,エストロゲン作用により,乳がんでは悪化する場合があります。

 また,肝臓がんが発生したとの報告があり,長期的に投与を受ける場合には,肝機能検査が必要になります。

 血栓性静脈娠肺塞栓症の人や既往歴がある人はこの抗がん剤は使用できません。
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