メルファラン(アルケラン)  

 Melphalan  

 アルキル化剤 − 抗がん剤の種類

抗がん剤の特徴
  メルファランはナイトロジェン・マスタードの化学構造を一部変化させたアルキル化剤です。

 多発性骨髄腫の治療では第1選択薬とされ,プレドニソロンとの併用によるMP療法やさらにシクロホスファミドとラニムスチンを加えたMCMP療法等があります。

 乳がんや甲状腺がん等に使われることもありますが,その場合は保険適応になりません。

 骨髄に障害を起こしやすく,その性質を利用して,造血幹細胞移植の前処置として,患者のがん細胞や骨髄細胞を破壊する場合にも用いられます。
  

抗がん剤治療の対象となるがん

 多発性骨髄腫では,このメルファランとプレドニゾロンを併用するMP療法が広く行われています。

 現在,白血病,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫の造血幹細胞移植の前処置に使われています。MP療法では,4〜7週間を1クールとして,治療初日から4〜7日まで本剤とプレドニソロンを内服する治療を何回か行ないます。


投与方法
 錠剤と注射剤とがあり,錠剤は多発性骨髄腫の治療に使用され,注射剤は造血幹細胞移植の前処置として,静脈に使用されます。
 

抗がん剤の副作用
  この抗がん剤では骨髄抑制による感染症や貧血,出血傾向などがみられます。

 吐き気・嘔吐を起こしやすく,その他,下痢や口内炎,めまい,血圧低下なども見られます。

 その他,造血幹細胞移植の前処置で大量投与を行うと,呼吸困難やじんましんなどのアナフィラキー症状,間質性肺炎,溶血性貧血を起こすことがあります。さらに,肝臓機能障害を引き起こし,黄疸が見られることもあります。
 

使用上の注意
 骨髄抑制には注意する必要がありますが,特に腎臓機能が低下していると,腎不全を発症したケースもあります。

 造血幹細胞移植時の拒絶反応を防ぐために免疫抑制薬が用いられますが,相互作用により腎不全などの腎障害を起こしたとの報告があります。

 ナリジクス酸という抗生物質を服用していた小児に本剤を投与した際に,出血性腸炎で死亡した例があります。

 催奇形性の疑いがあるので,妊娠中の使用は避けることが望ましいとされ,授乳は中止してください。

 
 
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