塩酸プロカルバジン(プロカルバジン)   

 Procarbazine

 アルキル化剤 − 抗がん剤の種類

抗がん剤の特徴
 スイスのホフマン・ラ・ロシュ社が開発したアルキル剤の抗がん剤で,日本では1973年に悪性リンパ腫の治療薬として承認され,30年以上使用されています。 

 がん細胞がDNAやRNA,たんぱく質を合成する
のを阻害することで,抗腫瘍効果を発揮します。

 血液脳関門を通過できることから,脳腫瘍の治療に,PAV療法(プロカルバジン+ニムスチン+ビンクリスチン)や,それにインターフェロンを加えたPAV−フェロン療法として用いられます。

 また,悪性リンパ腫では,COPP療法(シクロホスファミド十ビンクリスチン十プロカルバジン+プレドニゾン)などで用いられます。

 精子形成不全など性腺障害を起こす可能性があるので、男性の場合は、その影響を考慮する必要があります。


抗がん剤治療の対象となるがん

 悪性リンパ腫(ホジキン病,リンパ肉腫,細網肉腫),脳腫瘍(星細胞腫,乏突起膠腫成分を有する神経膠腫)


投与方法
 この抗がん剤は内服薬(カプセル剤)です。成人は通常,初回に1〜2カプセルを服用し,徐々に増量します。

抗がん剤の副作用
 よく見られる症状が骨髄抑制による免疫力の低下や出血傾向,貧血などです。

 吐き気,嘔吐,食欲不振もしばしばみられます。そのほか、消化器症状としては下痢や口内炎,便秘などが,精神神経系の症状としては,神経過敏や全身倦怠感,眠け,めまいなどがみられます。
 脱毛や発疹,色素沈着などの皮膚症状が出ることもあります。
 
 重大な副作用としては,まれに間質性肺炎やけいれん発作が起こることがあります。

 小児の使用によって,性腺障害(製糸形成不全など)が起こったという報告もされています。 

使用上の注意
 アルコールの分解能力を低下させる恐れがあるので,飲酒は控えましょう。

 また,次のような飲食物を摂取すると,頭痛,や動悸,不整脈,吐き気,嘔吐,発疹などが見られることがあります。

 これらの症状がみられた場合には,治療中および治療終了後しばらくは,摂取を控えてください。

○チラミンを多く含むチーズ,ヨーグルト,ワイン,ビール,レバー等。

○ヒスチジン,ヒスタミンを多く含むマグロ,ブリ,サバ,サンマ,イワシ等。

○カフェインを多く含むチョコレート,コーヒー,コーラ等。

○トリプトファン多く含むバナナ,パイナップル等。

 この抗がん剤は,向精神薬と同様に,神経伝達物質ドーパミンの分解を妨げる作用があるため,三環系抗うつ薬やフェノチアジン系やバルビツール酸系の向精神薬などを使用している場合には,注意が必要なので,必ず医師に伝えてください。
 
 
化学療法の種類のページへもどる