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現在,小児のがんに対しても抗がん剤はよく使われています。小児のがんでよく見られがんは,悪性リンパ腫や白血病などの血液系のがんや脳腫瘍などです。
他には小児特有のがんとして,神経芽腫,ウィルムス腫瘍などがあります。脳腫瘍は手術が治療法の第一選択となりますが,他は抗がん剤が積極的に使用されています。
小児のがんが治癒する確率は70%と成人のがんと比較して,かなり高い確率であり,この数値は小児のがんに対しては抗がん剤の治療効果が高いということを意味しています。
ただ成人の場合と異なり,小児のがんに対して抗がん剤を使用するということは成人とは別の問題が生じます。
第一の問題は成長が抗がん剤の影響で阻害されることがあるということです。骨が伸びにくくなったり,抗がん剤によっては関節が壊死することもあります。
さらには,永久歯が生えなかったり,抜けやすくなるなどの障害が見られることもあります。
脳の障害の可能性もあります。メトトレキサートやフルオロウラシルなどに見られる副作用で,大脳の白質と呼ばれる部分が破壊され,言語障害が運動障害,知能低下などの症状が見られます。
これは白質脳症と呼ばれ,薬剤の投与を停止すれば回復するものですが,長期間投与し続けると回復が困難になります。
その他,生殖機能が異常となり,男子では精子をつくることができなくなったり,女子では不妊症になったりします。
これまでは小児の命を救うことが最優先となり,副作用や後遺症の研究や対策は十分とはいえませんでした。
しかし,近年,ようやくこの問題が重要視され,小児のがん治療後のケアも行う小児がんフォローアップ外来を開設する病院も現れるようになりました。 |
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