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手術後のケアについて
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大腸がんの手術後はいくつかの合併症が見られることがあり,注意が必要です。合併症としては縫い合わせた部分がうまく接合しない縫合不全や手術創(傷)からの細菌感染があります。
これらは発熱や痛みを伴いますので,このような症状がでたらすぐに医師に報告しましょう。
また,手術後に腸の働きが悪くなり,便やガスが出にくくなることがあります。これは麻酔の影響や手術後の炎症で腸管が癒着したりすることで起こります。
手術後,腸の動きが回復してくると 通常手術の3~5日後にガスが出ます。しかし,腸の動きが鈍いと,便やガスがたまり,お腹が張る感じがしたり,吐き気やげっぷ,嘔吐などの症状が起こります。
このように,腸がうまく働かなかったり,腸の通りが悪くなった状態のことを腸閉塞(イレウス)といいます。
手術後の腸閉塞では,時間の経過とともに症状が自然に改善することが多いのですが,痛みや吐き気が続く場合,放置すると危険ですので,医師の診察を受けましょう。
また,食事がとれるようになっても,はじめのうちは無理をせずゆっくり,よく噛み,腹八分目を心がけ,食事の量や食欲,さらに排便の量や形などにも注意しましょう。
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手術後の後遺症について
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排便障害について
直腸がんの手術で直腸を切除すると,便をためておく部分が小さくなため,少しずつ何度も排便するようになったりします。直腸が過敏になり,便が直腸まで来ていないのに頻繁に便意を感じることもあります。
また大腸の大部分を切除した場合,腸の通過時間が短いため水分の吸収が不十分となり,便が泥状もしくは水様になったりすることがあります。
しかし,このような症状は徐々に安定してきますので,症状に合わせ,緩下剤や下痢止めなどの薬を使うなどして,排便障害に対処していきましょう。
排尿機能障害について
排尿機能障害は,直腸がんの手術で骨盤の中の自律神経が傷害を受けるために起こります。手術によっては自律神経も共にに切除する必要があり,その場合はある程度の排尿機能障害が避けられません。
軽度の排尿機能障害に対しては,膀胱の収縮を促す副交感神経刺激薬(コリン作用薬)や尿道の抵抗を少なくする薬剤が処方されます。
残尿が多い場合には、尿の出口からカテーテルを膀胱まで挿入し,尿を体外に排出する方法
(自己導尿)を行う場合もあります。
排尿機能障害は,症状や程度によって対処法が異なりますので医師にできるだけ具体的に自分の排尿障害の腫瘍状について相談しましょう。
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治療後の経過観察と検査
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根治手術で成功しても,結腸がんは約15%,直腸がんは約20%程度の人に再発する可能性があります。しかし,たとえ再発したとしても,大腸がんは再手術で完治も可能です。
したがって,治療後も5年間くらいは定期的に通院し,検査を受けることが大切です。
一般的に,手術後3年間は3~6ヵ月に1度,3年目以降は,約半年に1度の間隔で通院します。
通院の検査では大腸の内視鏡検査,胸部X線検査,腹部超音波(エコー),CT検査,血液検査(腫瘍マーカー)などの検査を行います。
5年経過した後も別の部位に新たにがんが発生する可能性があるため,検診などの定期的な検査が必要です。
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