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がん治療と心のケア
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がん治療において,心のケアはとても重要です。
がんを告知されると,強い衝撃を受け,多くの患者の方が大きな不安を感じ,動揺するだけでなく,そのご家族も本人同様に大きな衝撃を受け,混乱してしまうことも多いと思います。
がん患者の3人に1人はうつ病や適応障害などの症状がみられると報告され,それらの症状を改善するうえでも,メンタルケアは必要です。
また,がん患者の方を支えるご家族の精神的負担は大きく,ご家族のメンタルケアも患者さん同様に行われる必要があります。
海外では,がん治療の一環として,グループ療法と呼ばれるメンタルケアをおこなっている施設もあります。
グループ療法では,同じ病気で苦しむ人が集まり,医師・看護師・臨床心理士などにそれぞれの悩みを話し,聞く という療法を行って,心の負担を軽くするなど,メンタルケアをおこなっています。
同じ病気の患者さんが,週1回10人くらい集まってグループ療法を受けると,必ずしも長生きはできなくとも,不安や苦痛がやわらぐと報告されています。
日本では,診療報酬は認められてないので,グループ療法を導入している病院はほとんどありません。
さらに1対1でおこなわれるカウンセリングでも受けていない人も多く,日本ではがん治療におけるメンタルサポート体制が遅れているといわれています。
だからこそ,患者の方やご家族が主体となってメンタルケアを進んで受けていただきたいと思います。
ところで,がんという告知にショックを受け,絶望的になり,ふさぎ込んでしまう人もあれば,そこから立ち直って,最後まであきらめず戦っていこうと考える人もいます。
また,がんになって,大切なことに気づかせてくれたと,がんになったことを受け入れ,こころおだやかに過ごす人もいます。
がんを告知されるということは,多くの人が死というものを意識することであり,これで,全く動揺しないでいられる人はいないと思います。
ただ,できるならば,がんという病気に心までも,のみこまれるのではなく,つらい体験を意味あるものにかえ,こころ穏やかに過ごせれば,それは価値あることだと思います。
がん患者の心のケアは,患者の方の性格によってもその方法は異なるでしょうし,患者の方が抱えている肉体的不調や人生観,価値観とも関係するデリケートな問題でもあります。
心のケアの問題は,このページだけで到底語れるようなものではありませんが,がん患者の方やご家族の方々に少しでも参考になればと思い取り上げてみました。
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