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前立腺の構造と発症数

 
前立腺は膀胱の下にあり,膀胱からでた尿道の一部をとりかこんでいる直腸に隣接している臓器です。前立腺は大きさが約3cmぐらいのクルミ大の大きさで,先が下を向き,細くなっています。重さは約15~20g程度です。

 前立腺の構造は内部の分泌腺と外側の繊維質の前立腺皮膜から構成され,さらにこの分泌腺は内腺と外腺に分けられ,前立腺がんの多くはこの外線に生じます。

 この前立腺がんは年間約2万人が発症し,近年急激な増加傾向を示し,増加率ではすべてのがんのなかでトップです。

 この原因として,高脂肪食など食生活の欧米化や高齢化,さらには検査技術の向上により発見が容易になったことなどが考えられます。

 このがんの特徴は60歳以上の高齢者に多いということと,増殖が遅いがんであるということがあげられます。したがって治療は慎重に行うべきで,経過観察によって治療の選択をするということも大切です。
 

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前立腺がんの原因と予防

 前立腺がんが遺伝子の異常により引き起こされることは,他のがんと同じですが,このがんは特に男性ホルモンによって成長することに大きな特徴があります。

 このがんの発症に関しては,遺伝的な要素は10%程度で他は環境因子による遺伝子の変異と考えられます。

 そのような環境因子のなかで特に大きなものが,欧米型の高脂肪食であるといわれています。肉食を中心とした欧米では男性がん患者の死亡者の20%を占めています。

 また
前立腺がんは女性ホルモンのエストロゲン様作用を持つ大豆イソフラボン摂取により,予防や再発予防に効果があるとされます。またカテキンを含む緑茶などにも予防効果が高いといわれています。大豆タンパクや,緑茶を中心とした食生活が前立腺がんを抑制するという報告もあります。

 
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前立腺がんの症状

 初期には自覚症状がほとんどありません。前立腺がんは外腺という外側の腺にできるため,尿道を圧迫し,自覚症状がでるまでには時間がかかります。

 したがって,がん腫瘍がある程度進行して,はじめて残尿感,頻尿,下腹部不快感などがでてきます。
また,前立腺がんのこのような症状は前立腺肥大症と大差はなく,注意が必要です。

 さらに膀胱まで進行すると血尿や尿失禁,などがみられるようになり,背骨や骨盤に転移すると,腰痛や座骨神経痛などもみられます。また骨髄に影響すると貧血になることもあります。

前立腺がんの検査

直腸指診

 前立腺がんの診断で簡単で発見率の高い,診断方法です。この方法は肛門から指を挿入し,直腸から前立腺の大きさや形,かたさをしらべ診断します。腫瘍はかたいしこりとして確認されます。

経直腸的前立腺超音波検査
 前立腺は体の深部にあり,一般の腹部超音波検査では詳細な検索は困難です。そこで、肛門より専用の装置をいれ,超音波検査をおこないます。

腫瘍マーカーPSA血液検査
 PSAとはほとんどが前立腺から分泌される物質で,前立腺がんが増殖すると,血液中のPSA濃度が上昇します。がんと診断する目安となる数値は4.0ですが,注意しなければならないことは,この検査では不確実な要素も多く,4.0以上でもがんでない人もいれば,4.0以下でもがんを発症している人もいるということです。

 また前立腺肥大症や前立腺炎でも数値は上昇します。したがって,最終的に診断を下すには生検(組織検査)が必要です。

前立腺針生検
 直腸指診,超音波検査,腫瘍マーカーなどの検査をへてがんが疑われた場合,直腸や会陰部から専用の針をさし,組織を採取します。これが前立腺針生検です。バイオプシーガン(針生検銃)という,一瞬で採取可能な装置により,痛みもほとんどなく,安全です。
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前立腺がんのステージ(病期)

 前立腺がんの広がりの分類方法には,TNM分類(T:腫瘍の進行レベル,N:リンパ節への転移レベル,M:他臓器への転移レベル)とABCD分類などの方法がありますが,ここでは日本泌尿器科学会のABCD分類を記します。
病期 進行状態 治療法
A 前立腺肥大症などの良性病変の手術,病理検査で偶然発見されたケース(偶発がん)。
A1 前立腺内に限局した1.0cm以下の病変で高分化がん(性質のおとなしいがん) 高齢者;無処置で経過観察
A2 前立腺内にびまん性(1カ所にとどまらず,拡がった状態)に拡がったがん,もしくは中または低分化のがん(高分化に比べ悪性度が高いがん) 前立腺全摘出術
B 前立腺内に限局するがん
B1 前立腺内の一方の葉に病変が限局している腫瘍が1.5cm以下のがん 前立腺全摘出術+
(放射線療法+内分泌療法)
B2 前立腺内の腫瘍が1.5cmを超えるがん,またはびまん性や結節性(かたまりとして成長する状態)に拡がったがん,もしくは中または低分化のがん(高分化に比べ悪性度が高いがん)
C 前立腺被膜を越えて浸潤している状態で遠隔転移がみられないがん
隣接する精嚢,膜様部尿道,膀胱頸部へ拡がるがんは含まれる。
(前立腺全摘出術)+放射線療法+内分泌療法
D 臨床的に明かな転移巣が認められるがん 前立腺内のがんの大きさは規定されない。
D1 所属リンパ節(総腸骨動脈分岐部以下の骨盤内リンパ節)への転移がみられるがん 内分泌療法(+化学療法)
D2 D1より広い範囲のリンパ節や骨,臓器への遠隔転移がみられるがん

※70歳以上の高齢者の場合,ステージC以上は手術はしないというのが原則です。これは手術が患者に負担をかけるという理由だけでなく,このがんの進行はは遅いので平均余命の短い人(おおむね10~15年以下)は根治手術の対象にはなりません。

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前立腺がんの治療

外科療法(手術)

(1)前立腺摘除術
 他の臓器に転移していない早期のがんに対して行われる治療法で,精嚢や精管など周囲の臓器と前立腺すべてを切除する手術です。

 この手術では会陰部から切開する方法と下腹部から切開する方法の2種類がありますが,最近では腹腔鏡手術も行われるようになりました。

 この手術では,患者に対する負担が軽く,切開部が小さく,出血も少なく,回復が早いなどのメリットがあり,この治療を採用する病院も急増しています。 

 この手術では切断された膀胱と尿道は縫い合わされ,術後2~3週間は尿を排出するため尿道カテーテルを使用します。

 前立腺がんは骨盤内のリンパ節に転移することが多く,再発予防の見地からリンパ節を郭清することもあります。

(2)術後の後遺症について

 このような手術を行った場合,インポテンツや尿失禁,下肢のむくみなどがおこることがあります。近年では治療技術の向上により,勃起神経温存手術が可能になっています。しかしこの手術はごく早期の場合のみ可能です。また勃起神経温存手術を行っても,しばらく勃起不全が続くことがあります。

 また尿失禁は,内括約筋を損傷すると,せきやくしゃみなど下腹部に力が加わったとき,尿がもれる状態になることもあります。

 下肢のむくみはリンパ節廓清により,リンパの流れが滞り起こるもので,多くの場合,自然に治癒します。


放射線療法


 この療法では,外科療法の後遺症の勃起不全や尿失禁を避けることができ,QOLの低下を防ぐことができます。

 放射線治療では体の外側から放射線を当てる外照射と内部から放射線を照射する組織内照射方法があります。外照射の場合,副作用として皮膚の炎症や膀胱炎,直腸からの出血がみられることがあります。

 しかし,近年,近年ヘリカルCTの原理を応用して回転しながら患部のみ的確に照射することを可能にした最新型放射線治療装置トモセラピー(TomoTherapy)が登場しました。ピンポイント照射だけでなく,一度に複数の病巣や複雑な病巣にも対応でき,正常細胞へのダメージも少ないというメリットがあります。

 また組織内照射は,ブラキーセラピー(小線源治療)と呼ばれ,ハイドース(高線量照射)とロウドース(低線量照射)の2つに分かれます。

 高線量照射は,下半身に麻酔をかけ,会陰部から針を前立腺内に差し込み,針金状の放射線源を針の中空部分を通して前立腺内部に到達させて,短時間照射するという治療法です。

 低線量照射でもやり方は同じですが,針先から放射線源50~100個を前立腺内に押し出して永久に埋め込むという方法で,QOLが良好で,今後普及すると考えられます。 ただし,永久埋め込みは前立腺周辺部の効果が低いため,早期がんの治療のみに適用されます。
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ホルモン療法


 正常の前立腺の増殖や機能は男性ホルモンであるテストステロンに影響されています。テストステロンはほとんどが精巣で産生されます。テストステロンは前立腺がんを刺激します。テストステロンが産生されていると前立腺がんは増殖して広がり続けます。

 したがって男性ホルモンのはたらきを抑えるとすると,がんの増殖は抑制されます。これがホルモン療法(内分泌療法)と呼ばれる治療法です。

 内分泌療法は睾丸(精巣)を摘出する方法と,薬剤による治療法とがあります。精巣摘出は,比較的簡単な手術ですが,性欲や勃起能力の消失があります。

 薬剤による内科的治療には,作用によりいくつかの種類があり,男性ホルモンが前立腺にはたらかないように作用する薬剤として抗アンドロゲン剤があります。この薬には勃起不全や嘔吐,ほてり,肝臓機能障害などの副作用もあります。

 また女性ホルモンであるエストロゲンを投与することで,男性ホルモンの分泌を抑制するという方法もあります。副作用としてむくみ,嘔吐などの他に血栓症などがおこることがあります。

  LH-RHアナログは精巣からのテストステロンの分泌を抑制する LH-RHという天然のホルモンを人工的に作ったもので,毎月1回注射すると精巣からのテストステロン産生が減少します。外科的去勢である精巣摘除術と同等の効果があることから薬物的去勢ともいわれます。 副作用として精巣摘除術と同様に勃起不全と体のほてり感があります。


 副腎皮質ホルモン剤は服用することで,副腎からのテストステロン産生が抑えられると言われています。 ホルモン療法で効果がなくなった場合に使われることがあります。この副作用 には顔が丸くなったり太ったりするほかに糖尿病の原因になったり感染に対する抵抗力が低下することがあります。また,胃に負担がかかったり、骨がもろ くなったり,皮膚が薄くなることもあります。

 このようなホルモン療法は効果がありますが,治療を開始して2年~4年ぐらいたつと,患者の半数以上に効果がみられなくなり,がん細胞が再度増殖することがあるので注意が必要です。


化学療法


 ホルモン治療が有効でない症例や,最初は有効でも,効果がなくなったとき(再燃)に行う治療です。これまで前立腺がんには,抗がん剤が効きにくいとされていました。

 しかし米国の臨床試験で新しい抗がん剤のドセタキセル(商品名タキソテール)で治療した結果、死亡率が減少したことが報告されています。これを受け,米政府はドセタキセルを転移のある前立腺がんの薬として承認しました。 したがって日本でも 再燃後の前立腺がんに対して今後適用されていくと予想されます。

前立腺がん最新治療

高密度焦点式超音波法(HIFU)

 がん病巣に高エネルギーの超音波を照射し,高熱を発生させ,がん細胞を凝固させるという治療法です。新しいがん治療法で臨床試験の段階ですが,患者への負担も少なく,後遺症もなく画期的な治療法です

 この治療法では直腸から棒状の超音波発振器を挿入し,検査用の数千倍という強力な超音波を前立腺のがん病巣に集中させ治療します。超音波の照射範囲や強さなどはすべてコンピュータがコントロールしています。

 この方法ですと,出血もなく,入院も3~5日間程度ですみます。また,
前立腺の全摘手術では尿漏れや勃起障害が高率に起こることが知られていますが,この方法ですと,尿漏れの心配はなく,性機能障害も30%程度と低く,高齢者でも治療できるのがメリットと言えます。

 ただし,治療できるのは前立腺内にとどまる転移のないがんで,腫瘍マーカー(PSA)の値が30ナノグラム以下の人が適応です。また保険は適用できません。この治療法を実施している病院はHIFU実施病院のページで紹介しています。

凍結療法

 金属製の針の先端内部に,超低温高圧ガスを噴出してがんや腫瘍組織を凍結し,死滅させます。凍結療法は切除手術に比べ,体への負担が少なく痛みがないのが特長です。凍結により死んだ細胞は時間がたつと吸収されて消失します。

遺伝子治療

 近年,前立腺がんに対する遺伝子治療も試みられるようになりました。岡山大学では単純ヘルペスウィルスの遺伝子を利用した研究がすすめられています。

 この治療はヘルペスウィルスが持っているチミジンキナーゼという酵素を産生する遺伝子をアデノウィルス・ベクター(運び屋)に組み込み,がん細胞内でこの酵素を産生させます。そこへガンシクロビルという薬剤を投与すると,がん細胞内だけで,チミジンキナーゼによって,がん細胞の構造が変化し,前立腺がんを死滅させるというものです。 

 現在のところ臨床試験中ですが,副作用もほとんどみられず,効果をあげていると報告されています。
 

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