●ガイドライン |
特定病気の治療法や診断基準を科学的根拠に基づいてまとめたもので,各学会によって作成されることが多い。治療の格差をなくし,安全性や治療成績の向上をねらいとしている。 |
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●化学療法 |
抗がん剤を投与して,がん治療を行う方法。手術前や手術後に補助療法として行われることも多い。がんの種類によって有効な薬剤や効果は異なる。抗がん剤は嘔吐,下痢,脱毛など多くの副作用を伴うことが多い。投与により免疫力の低下を招き,がんが薬剤耐性を持つようになるという問題点もある。 |
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●獲得免疫 |
細菌やウィルス,がん細胞などに対して,樹状細胞などから抗原提示を受けることで,自己と非自己の区別が行われ,これらを攻撃できるようになる免疫システムをいう。これら感染源は抗原として記憶され,同様の感染源が進入した時は抗原を認識している記憶細胞は速やかに集合する。 |
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●活性酸素 |
スーパーオキサイドとも呼ばれ,近くの物質から強引に電子を奪って安定化しようとする不安定な酸素。生体内では日常的に発生し,この活性酸素により,細胞や遺伝子などが破壊され,老化やがんの原因にもなっていると考えられている。 |
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●がん遺伝子 |
もともと正常細胞に存在するたんぱく質をつくらせる遺伝子であるが,なんらかの原因により変異すると,細胞を異常増殖させてしまう遺伝子。この遺伝子が変異する前の状態をプロト(原型)がん遺伝子と呼んでいる。ただし,細胞ががん化するにはがん抑制遺伝子の変異など,何種類もの遺伝子の変異が必要と考えられている。 |
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●間質性肺炎 |
肺胞を取りまいている間質という組織に炎症が起きている症状。この症状が進行すると肺は堅く縮小し,呼吸不全につながることもある。ウィルスや細菌感染によるものは少なく,放射線,薬剤,塵埃(じんあい)などが原因となっている。抗がん剤のブレオマイシンやイレッサの投与後の副作用として起こることがある。 |
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●完全寛解(CR)Complete Response |
治療後に病変が見かけ上消失した状態を示す。がん治療効果の判定では腫瘍がすべて消失した状態が4週間以上続くことをもって完全寛解したと言う。 |
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●肝動脈塞栓術 |
肝臓がんの治療法の一つ。肝動脈に大腿動脈からカテーテルを入れ,そこから血管に塞栓物質をつめ,がん細胞への血流を絶つことで,がん細胞を死滅させる方法。塞栓物質としてゼラチンや抗がん剤が使われる。 |
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●ガンマナイフ |
脳腫瘍に対する放射線治療の一種。頭部を固定し,多数のガンマビームを腫瘍の一点に集中させることで,病巣部を壊死させることができる。メスを入れずに深部にある腫瘍にも照射でき,ガンマ線が一点に集中するため,付近の正常細胞にはほとんど影響がないというメリットがある。 |
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●がん抑制遺伝子 |
正常細胞にある遺伝子で細胞の増殖を抑制するはたらきを持つ遺伝子。 この遺伝子が何らかの原因で変異,または欠損したりすると細胞の増殖を止められなくなりがん化すると考えられている。ただし,細胞ががん化するにはこれだけでなく,何種類もの遺伝子の変異が必要である。 |
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●QOL(Quality Of Life)
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「生活の質」と訳されている。がん治療において,腫瘍縮小効果,延命などの治療を最優先させることは,反面,治療の苦痛や治療後の身体的機能低下など,患者に精神的,肉体的苦痛を与えることにもなる。患者自身の立場にたって,治療中,治療後の身体的機能や快適感,満足感すなわちQOLへの配慮が十分にされなければならない。 |
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●キラーT細胞 |
T細胞の1腫。ヘルパーT細胞からの指示を受け,がん細胞などの異常細胞をたんぱく質の1種であるパーフォリンを放出して破壊する。役目を終えたキラーT細胞はほとんど死滅するが,一部はメモリーキラーT細胞として残り,同じ敵に備えることができる。 |
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●血管新生 |
胎児における新たに発生する循環器系の形成などを意味するが,がん細胞においても新たに血管は発生し,血管新生と呼んでいる。
がん細胞はある程度の大きさになると最寄りの血管にシグナルを与え,がん細胞に向かって新しい血管を作らせることができ,これにより酸素や栄養分を吸収できるようになったがん細胞はその後急速に成長する。
現在,がんの血管新生抑制剤として,サリドマイドやアンギオスタチンが効果があるということが発見され,臨床試験に入っている。
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●抗エストロゲン剤 |
卵巣から分泌される女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌を抑える薬剤。乳がんや子宮体がんではエストロゲンががんを進行させる発がんプロモーターとして働く場合が多く,この薬剤が治療薬として投与される。 |
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●好塩基球 |
白血球に含まれる顆粒球の一つ。この数値が高くなると慢性骨髄性白血病が疑われる。好塩基球では,細胞表面にIgE受容体があり,アレルゲンが付着するとヒスタミンを放出する。 |
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●抗がん剤 |
がん治療の化学療法で使用される薬剤のこと。がん細胞が増殖する周期に特異的に作用するものと,細胞分裂の周期とは無関係に作用するものに大別されるが,多くの薬剤では嘔吐,食欲不振,脱毛などの副作用を持つ。その作用や作用物質の違いによりいくつかに分類されている。 |
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●高額療養費払い戻し制度 |
どのような健康保険でも加入者であれば同じ病院や診療所で支払った1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合,本人の申請により,高額医療費が支給され自己負担が軽減される制度。 申請は1ヶ月ごとに行い,過去2年までさかのぼり請求できる。 |
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●好中球 |
白血球に含まれる顆粒球の一つ。 白血球全体のなかで最も多い。細菌などが体内に侵入すると体内に取り込んで消化するため食細胞とも呼ばれる。 |
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●高度先進医療 |
一般の保険診療で認められている医療水準を大きく超えた最新技術であると承認された医療。
特定の大学病院や専門病院などが「特定承認保険医療機関」として厚生労働省より承認され,高度先進医療を行っている。
高度先進医療では,一般的な診療と共通する診察料や検査料,入院費などの部分は健康保険から給付されるが,高度先進医療部分に対しては,健康保険が適用されず,自己負担となる。 |
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●好酸球 |
白血球に含まれる顆粒球の一つで,アレルギー反応に関与している。気管支ぜんそくや花粉症,じんま診などで増加するため,アレルギー疾患の検査に利用されている。 |
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●広汎子宮全摘 |
患部を子宮と膣の一部を含め,骨盤壁近くから広い範囲で切除する手術法。 関連する所属リンパ節も同時に切除する。最近では開腹せずに内視鏡下で,子宮やリンパ節を切除することも多い。この手術では,後遺症としてリンパ浮腫が見られたり,膀胱や直腸の神経切断により,排尿や排便をコントロールできなくなることがある。 |
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●骨髄移植 |
白血病,悪性リンパ腫などに対して行われる治療法。大量の抗がん剤投与や,放射線照射を行い,骨髄中の白血病細胞を完全に破壊した後,造血幹細胞をドナーから移植し,造血機能を回復させる。造血幹細胞移植療法とも呼ばれる。他人の骨髄幹細胞を利用する他に,患者自身の幹細胞を移植する「自己(自家)骨髄移植」がある。 |
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●5年生存率 |
がん治療では治療開始後の年数によってその治療成績が評価されることが多い。がんでは5年経過するとその後は生存率があまり低下しないので,ほぼ治癒したと見なされ,5年生存率はがん治療の一つの指標となっている。 ただし乳がんは経過が長く,10年生存率が適用され,小児の腫瘍では2年生存率が適用される。 |
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●根治手術 |
完全に治すことを期待して行う手術のこと。 これに対し,苦痛を和らげることや身体の負担を考え,病巣の一部を摘出する手術を姑息(こそく)手術という。 |

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