免疫療法の費用

 多くのがん免疫療法は保険適応外

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免疫療法の費用    
 
                           
 
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免疫治療は基本的には保険適応外

 
     

がん治療において免疫細胞療法などの免疫療法は基本的には保険適応外となります。

したがって,免疫療法を受けるとなると高額な費用がかかります。

例外的に保険適応となるものの一つに,抗体医薬品と呼ばれるハーセプチン(トラスツズマブ)があります。

この医薬品は主に乳がん患者に使用されていますが,胃がん患者に対して使用される場合もあります。

このハーセプチンは,がん細胞の増殖を抑えるだけでなく,がん細胞と結合することでNK細胞などの免疫細胞を誘導し,がん細胞を攻撃できるという機能を持っています。

この機能をADCC活性と呼び,一種の免疫療法とみなすことができます。

しかし,このような医薬品とは異なり,免疫細胞療法は医療行為です。

したがって,活性化した細胞は医薬品とは認められないため,医薬品としての保険適応ができません。

免疫細胞療法などのがん免疫療法では,臨床試験も多額の費用がかかるため,大規模臨床試験自体が難しく,その結果,保険適応はできないという結果になってしまいます。



免疫療法の費用の内訳

費用面では,まず診察などの治療前の費用がかかります。

治療前には,がんの状態を把握するため,腫瘍マーカー検査や画像検査を行うほか,心電図検査や血液検査をおこないますが,これらの費用が治療前にかかります。

次に,メインとなる治療費がかります。

たとえば免疫細胞療法では,患者から血液を採取する採血,血液から免疫細胞の分離・抽出し,さらには培養・増殖させるための加工技術料がかかります。

また,治療中あるいは治療後に,治療効果を調べるための腫瘍マーカー検査や画像診断が必要であり,これらの費用がすべて自己負担となります。



免疫療法の自己負担額を減らすには

免疫療法の自己負担を減らすことができる方法もあります。

それは,現在治療している病院と提携しているクリニックがあるなら,そのクリニックを利用すれば,治療病院で検査や手術を保険診療で受け,免疫療法を自己負担で受けることができます。


また,大学附属病院など特定の医療機関では,免疫療法が高度先進医療として認可されています。

ここでは診察・検査・投薬・入院料などの費用は保険適応となり,免疫治療は特別治療費として保険適応外となる混合診療が特例として認められています。

健康保険を利用して,月々の自己負担が一定額を超えた場合,申請すれば,超過分が払い戻されるという高額療養費制度があります。

ただし,先進医療おいては,免疫療法にかかる特別治療費は,この高額療養費制度は適用されません。

しかし,申告すれば,所得税の医療控除対象になるので,領収書は保管しておきましょう。


がんの免疫療法はいくつかの大学附属病院などで,臨床試験をおこなっており,この試験に参加すれば,基本的に治療費は研究費という予算でまかなわれるため,無料となります。

だだし,臨床試験はデータを集めるという目的のため,その参加条件はかなり制約されています。


また,民間のがん保険では,このような免疫細胞療法の費用を全額出してくれる保険もありますので,がんになる前にこのような保険に入っておくというのも一つの方法です。
   
 
           
   
実際の免疫療法・免疫細胞治療の費用一覧
   

免疫療法は実際にどれくらいの費用がかかるのか,まとめてみました。

免疫療法は基本的には保険適応外ですので,実施される病院やクリニックで差があります。



最も安い費用で受けられるのが丸山ワクチン

丸山ワクチンも保険適応ではありませんが,現在おこなわれている免疫治療のなかでは,最も費用の負担が少ない治療です。

丸山ワクチンでは1クール(1コース)を注射10回分としています。丸山ワクチンは週に3回の投与を原則としています。

1クールが,注射10本で9000円ですので,1回分は900円ですみます。週3回の治療では900円×3回=2.700円 となり,1ヶ月では,2.700円×4週=10.800円 になります。

これに,注射料がかかります,これは施設により差はありますが,およそ1回500円として,1週で1500円,1ヶ月では4.500円という計算になります。

そこで,1ヶ月にかかる費用はワクチン代10.800円+4.500円=15.300円ですむという計算になります。

1クールでも,9.000円(10回分)+注射代500円×10回=14.000円ですみます。

これに,はじめての場合,診察料がかかりますが,丸山ワクチンの場合,有償治験という特例措置で,診察料は保険適応となります。

免疫療法は持続して,効果が得られるということを考えると,費用の負担が少ないため,長期にわたり,継続して受けられる丸山ワクチンのメリットは大きいといえるでしょう。



比較的安価で受けられるがんペプチドワクチン療法

久留米大学病院など,大学病院を中心におこなわれている,人工抗原を注射で投与するがんペプチドワクチン療法は丸山ワクチンよりは費用がかかりますか,がん免疫療法の中では安価な方です。

1回の投与で約11万円〜12万円かかり,1クールは6回〜8回です。1回12万円として6回で72万円,8回で96万円です。 これに初診料,検査代などが保険適応ではないため,10万円程度かかります。 これを合わせると,1クールは82万〜106万円ほどですみます。

がんペプチドワクチンは,免疫細胞のような細胞の培養に手間がかからないことや,合成した人工抗原を使用するため,患者の腫瘍から抗原を抽出する手間が省けることなどから,比較的安価で受けられるといえます。



免疫細胞療法よりは安い費用で受けられる自家ワクチン療法

自家ワクチンは,がん細胞を加工してワクチンとして利用するため,腫瘍を手術で取り出す必要があり,手術後の再発予防や手術で取り切れなかった場合の補助を目的としての治療法です。

自家ワクチン療法も,保険適応外の自由診療であり,丸山ワクチンやがんペプチドワクチン療法に比較すると高い費用がかかりますが,細胞培養に多額の費用がかかる免疫細胞療法よりは,安くすみます。

自家がんワクチン療法は(株)セルメディシンの技術であり,提携している病院やクリニックでごとに診療の費用が異なります。

1コースは3回で終了です。これ以上の回数もそれだけの量の腫瘍が得られれば可能ですが,この自家ワクチン療法はある程度の腫瘍の量が必要となり,通常は1コースの3回程度で終了することが多いようです。

1コース分には初心料,3回分のワクチン接種,2回分のの免疫反応テストが含まれ,すべて含めて150 万円程度です。



クリニックや治療法によっても費用が異なる免疫細胞療法

免疫細胞療法は,免疫療法の中では高額な費用が必要です。というのは,細胞培養には,専用の施設が必要なだけでなく,細胞の抽出や培養に手間や時間がかかるからです

免疫細胞療法も自由診療であるため,施設によっても異なります。また,施設によっても活性化される免疫細胞の種類やその方法も違い,費用も異なってきます。

たとえば瀬田クリニックを例にとると,活性化自己リンパ球療法と呼ばれるなかで,αβT細胞療法は培養がしやすく,それほど手間がかからないので,免疫細胞療法の中では安い方です。

それでも,1回の投与で27万円かかり6回で1クールなので162万となり,これに初診,検査費用を加えると約180万ほどになります。


また,NK細胞はT細胞より培養が難しいといわれ,費用も高くなります。
1回の投与で,37万8000円ほどかかり,6回の投与で,226万8000円となり,これに初診,検査費用加えると約245万ほどになります。


自己のがん細胞を樹状細胞に与え,体内に投与する樹状細胞ワクチン療法は免疫細胞療法のなかでも,もっとも手間がかかり,費用もかかります。

6回の投与で,初診,検査費用すべて合わせて約190万,12回の投与だと約222万ほどかかります。 

また,自己のがん細胞ではなく,人工抗原ですともう少し安くなり,6回の投与で,初診,検査費用すべて合わせて,約157万,12回投与で約189万ほどかかります。


これらの費用はあくまで,瀬田クリニックを例にとった場合であり,クリニックによって費用は異なります。具体的な費用は各クリニックへお問い合わせください。

また,日本で独自に開発されたANK細胞療法は,NK細胞の活性度とその増殖数はかなりのものがありますが,それだけ手間や技術も必要で,実施医療機関によっても差がありますが,12回の投与での総額は約400万円です。



抗体医薬品は保険適応のものでも高額

抗体医薬品でADCC活性を持つ,すなわち免疫細胞をがん細胞へと誘導する効果を持つ,医薬品の投与は免疫治療といえます。

そのようなADCC活性を持つ,日本で承認されている医薬品にはB細胞性非ホジキンリンパ腫治療に使用されるリツキシマブ(リツキサン),大腸がんや頭頸部がんに使用されるセツキシマブ(アービタックス),乳がんの他,胃がんにも使用されるトラスツズマブ(ハーセプチン)があります。

これら抗体医薬品は保険適応となっていても,概して高額です。

たとえば,ハーセプチンを使用した場合,3割負担でも,1カ月あたり約6万3000円にもなり,年間の自己負担額は約76万円になります。



日本ではまだ未承認の抗体医薬品を使用するとなるとさらに高くなります。

たとえば,米国で転移性悪性黒色腫の治療に対して認可されている抗体医薬品にイピリムマブがあります。

この医薬品は制御性T細胞のCTLA-4分子に結合し,免疫細胞であるT細胞を活性化できる画期的な医薬品として話題になっていますが,この医薬品は1コース分すなわち,3週間に1回,4回投与で約960万円もします。

もし,保険適応となり,3割負担となっても,1コース約188万円にもなります。あまりに高額で国の財政負担を考えると,日本で保険適応になるかどうかも難しいところです。

事実,日本独自の保険制度がこのような高額な医薬品の承認を阻んでいる例はこの他にも数多くあります。

         
                       
                       
                       
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