リンパ球系免疫細胞 |
性質・特徴 |
NK細胞
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NK細胞は自然免疫系の細胞です。 文字通り生まれつき異常な細胞を殺傷する能力を持っています。
常に,体内を巡回しながら,がん細胞,ウィルス感染細胞などを発見すると,単独でパーフォリンをというタンパクを放出し,病原体に穴をあけ,グランザイムという酵素で,相手をアポトーシス(細胞自死)に追いやります。
NK細胞は,T細胞と異なり,がん細胞の目印となるMHCクラス1分子を発現していないがん細胞を攻撃・死滅させることができます。
NK細胞は,免疫細胞療法にも利用されている細胞ですが,増殖・と活性化の両立が難しいともいわれている細胞です。 |
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B細胞
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B細胞は獲得免疫系の細胞です。
抗原提示を受けたヘルパーT細胞の指令を受けて抗体を産生します。
この抗体がウィルスや細菌と結合し,それらを無力化したり,貪食細胞のマクロファージに捕食されやすくします。
このB細胞はがん細胞よりも,ウィルスに対して能力を発揮します。
病原体が死滅しても,適合したB細胞の一部はメモリーB細胞として長く残り,次回の侵入の際に素早く抗体が産生できるようになっています。
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T細胞
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T細胞(T cell)は,獲得免疫系の細胞です。
T細胞は免疫細胞療法などの免疫療法でも,よく活用されている免疫細胞です。
他の免疫細胞と同様に骨髄で生まれますが,その後,胸腺という組織に移動します。
胸腺では,自己と非自己を見分ける能力を身につけますが,身につけられなかったT細胞は胸腺で死滅し,生き残るのはわずか5%といわれています。
T細胞はキラーT細胞,ヘルパーT細胞,サプレッサーT細胞,レギュラトリーT細胞の4つのタイプがあります。
ヘルパーT細胞は細菌やがん細胞などを貪食したマクロファージや樹状細胞の抗原提示を受け,Th1型はキラーT細胞に,Th2型はB細胞に攻撃の指令を出します。
指令を受けたB細胞は抗体で,また,キラーT細胞はがん細胞やウィルスにとりつきNK細胞と同様の方法で破壊します。
ただしキラーT細胞が攻撃できるのはがん細胞の目印となる MHC分子を発現しているがん細胞に限られ,このMHC分子を消失させたがん細胞には攻撃できません。
また,サプレッサーT細胞はサイトカインを放出し,キラーT細胞やB細胞の攻撃を終わらせるはたらきがあります。
一部のT細胞は病原体が死滅しても生き残り,メモリーT細胞として長期にわたり生存し,次回の進入に備えることができます。
レギュラトリーT細胞は,最近になって発見されたT細胞であり,免疫細胞のはたらきを制御しています。
このT細胞は,比較的培養がしやすく,免疫療法にはよく活用されます。
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NKT細胞
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NKT細胞は自然免疫のNK細胞と獲得免疫のT細胞の両方の性質を持つ最近発見された細胞で,T細胞に属すると考えられています。
NKT細胞は,他のリンパ球に比べ数が非常に少なく,全体の0.01%しか存在しません。
しかし,NKT細胞は,NK細胞と同様にがん細胞の目印となる MHC分子を発現していないがん細胞を直接攻撃・殺傷することができます。
さらに,ヘルパーT細胞同様に,キラーT細胞に活性化刺激を出したり,B細胞に攻撃指令を出すことができます。
ヘルパーT細胞は,キラーT細胞とB細胞でサイトカインを使い分け,同時に指令を伝えることができません。
ところが,NKT細胞は,キラーT細胞とB細胞の両方に,同時に指令を伝えるサイトカインを分泌できるのです。
現在,NKT細胞を使った免疫細胞療法の臨床試験が千葉大学で進められています。 |
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骨髄系免疫細胞 |
性質・特徴 |
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顆粒球
(好中球) |
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顆粒球は自然免疫系の細胞です。
顆粒球には好中球,好酸球,好塩基球の3種類があります。
好中球は血液中に最も多く存在する顆粒球であり,白血球全体の60%をしめます。
好中球は細菌やウィルスに対して貪食機能を持っており,細胞内に細菌などを取り込み酵素で細菌を破壊し,死滅させます。
細菌の侵入に対しては,マクロファージなどから信号が出され,それにより好中球が引き寄せられ,細胞を貪食します。
好酸球は,寄生虫感染やアレルギー疾患で増加し,喘息のようなアレルギー反応を引き起こします。
また,好塩基球は 白血球全体の0.5%を占めるに過ぎず,他の顆粒球と異なり,異物細胞を貪食しません。
現在,この好塩基球のはたらきは数が少ないこともありよくわかっていません。
にの中には,アレルギー反応を起こす物質であるヒスタミンを放出する顆粒もあります。 |
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単球
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単球とは単核白血球とも呼ばれ,全白血球のうち5%を占めます。
単球は,アメーバ様運動を行って移動することができ,血液中で細菌や異物と出会うと,その細菌や異物を貪食し,酵素で異物を分解します。
その後,断片化した異物を細胞表面に提示し,これをヘルパーT細胞に伝え,免疫反応が開始されます。 |
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マクロファージ
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マクロファージは組織内に分布する大形のアメーバ状細胞です。
単球は組織に移行し,マクロファージに分化しますが,マクロファージは生体内をアメーバ運動し,死んだ細胞や体内に生じた変性物質や侵入した細菌などの異物を貪食し,清掃する役目も果たしています。
この貪食能力は,樹状細胞よりも高いものがあります。
また,異物の一部を抗原提示し,免疫情報をヘルパーT細胞へ伝えます。 |
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樹状細胞
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樹状細胞は細胞の外側に,木の枝のような樹状突起を持っているという特徴があります。
樹状細胞は,抗原提示細胞といわれ,獲得免疫を発動させる免疫の司令塔のような細胞です。
この細胞は2011年ノーベル医学生理学賞を受賞したロックフェラー大学の故ラルフ・スタインマン教授によって,はじめてその機能を解明されました。
樹状細胞は,単球から,自然免疫の戦いで生ずるサイトカインの刺激で樹状細胞へと変化します。
成長した樹状細胞は体内に侵入したウイルスなどの抗原を取り込んで,T細胞に抗原の情報を伝達し,免疫反応を開始させます。
この抗原提示能力はマクロファージよりも,かなり高いといわれています。
一方,成熟したヘルパーT細胞は,樹状細胞を活性化させるサイトカインを出すことで,樹状細胞を活性化させています。
免疫細胞療法やがん免疫療法ではこの働きを利用した樹状細胞療法やペプチドワクチン療法がおこなわれています。 |
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